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やなぎさわかんのんどう

柳沢観音堂

極楽浄土に住む鳥が堂内にいます。どこにいるでしょうか?

 小高い場所から里山を見守るように建てられている柳沢観音堂。一見すると山間にある普通のお堂のように見えますが、近寄ってみるとその豪華な彫り物や細工に驚くことでしょう。
 正面の欄間には両面から彫られた力強い彫刻があり、たくましい前足とカッと開いた口が勇ましい獅子や象をモチーフにした柱が訪れた人の心を驚かすはず。 通常入ることのないお堂内部の天井は格子状に組まれた格天井という作りになっており、その一つひとつに赤と白の天井絵が描かれています。
 注目したいのはその向こう。さらに奥へと続く扉の上にある欄間には、表の獅子とは違う趣の獅子の姿があり、極楽浄土にいると言われる伝説上の鳥、迦陵頻伽(かりょうびんが)が彫られています。鳥の体に人の頭がついたという迦陵頻伽をモチーフにした彫刻はなかなかお目にかかれるものではありません。ぜひとも観てみたい装飾の数々です。

解説

 柳沢観音は磐城三十三観音霊場の十五番札所で、明治維新時の修験宗廃止に至るまで、羽黒山寂光寺に属する修験宗羽黒派の寺院であった福聚山柳沢寺の観音堂であった。建物は方三間四面堂廻縁付、宝形瓦葺屋根に7.87尺間の流れ向拝付き(向拝部分は後補)、元は茅葺屋根であったが昭和48年に瓦葺とした。正面以外は6.3尺間の三間とし、垂木2.2寸×1.7寸本繁垂木となり、一枝3,937寸とは多少の誤差であるが、基準が6.3尺間(当時の一間幅)から木割を整えたと考えられる。軸組は7.5寸径の円柱14本に内法長押と地覆長押及び地貫、そして柱頭は頭貫と台輪で組まれる。二手先出組尾垂木に支輪、中備は蟇股と和様出組である。
 欄間に両面彫り彫刻、蟇股彫刻、獅子・象木鼻および籠彫り木鼻などで荘厳される。内外陣境の欄間の迦陵頻伽(聞いて飽きることない美声によって法を説くとされ、浄土曼荼羅には人頭・鳥身の姿で表される極楽浄土にいるという想像上の鳥)の彫刻は珍しいものである。
 天井は格天井で絵様が描かれている。
 江戸時代の典型的な方三間四面堂であり、意匠的・技術的に貴重な建造物である。
指定区分
市指定
種別
有形文化財(建造物)
住所
いわき市小名浜野田峰岸
施設名
禅福寺
指定年月日
平成15年4月25日

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