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深鉢形土器

縄文時代に流行した文様?

解説

 内郷御厩町の番匠地遺跡から出土した縄文時代後期の深鉢形土器である。ゆるやかなくびれを持つ胴部、上方に向かって広がる口縁部という独特なフォルムを有し、口縁部の上部は先の尖った大振りの三角形状の突起となっている。人が手を広げる姿とみることも出来る。さらに真上から見ると花弁が広がっている様相を彷彿させる。胴部上半には、当時の流行である並行沈線と縦位の区切り沈線が施文されている。突起の単位は奇数である7単位を数え、他の遺跡ではあまり目に触れない数字の突起でもあるが、隣接地からも同様の深鉢形土器が出土しており、特殊性も見て取れると同時に、こだわりの数であることを物語っている。
 普通、深鉢形土器は煮炊きに使う器であり、大振りの突起などは邪魔になるはずであるが、表面には炭化物が付着しているところは、通常使用される深鉢形土器と同様の火にかけられた痕跡が存在する。
 現在の日本でも、奇数は縁起がよい数字と考えられ、日本三景などのように奇数を好んで使用する。縄文時代のこだわりや嗜好性が現代にまで受け継がれているのかもしれない。
住所
いわき市常磐藤原町手這50−1
施設名
いわき市考古資料館

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