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どうしょう

銅鐘

からす天狗はどこにいるでしょうか?

 この梵鐘は、1747年に平梅香町の職人、椎名久兵衛国光・長次郎によって作られました。椎名氏は磐城平藩を治めた鳥居氏・内藤氏・安藤氏などに仕えました。
 梵鐘のつり下げる部位を竜頭と言いますが、通常上部にあるため細部まで造形を見ることは難しいもの。しかし、この3D画像によって上からも細部の造形を見ることができます。
 また、池の間と呼ばれる梵鐘の中央部分には文字とともに、からす天狗や愛宕山の風景が彫られています。ただ彫るだけでなく、まるで物語のように区画ごとに作図を変えるという、椎名氏のセンスと腕の良さを感じられます。
 梵鐘をじっくりながめることなど普段の暮らしの中ではなかなかありませんが、画像を回転させながら各作図を味わってみてください。

解説

 この梵鐘は愛宕神社参道右側の鐘楼に掛けてある。撞座には蓮華文があり、下帯には唐草文を巡らしている。池の間各区には浮彫りがあって、第1区には大天狗、第2区には甲を着し棒を持った烏天狗が中腰にかまえた姿、第3区には腰をおろしてかまえた烏天狗、第4区には遠山や樹木が見え、岩屋の中の堂宇は京の愛宕山の景と思われる。各区には次の刻銘がある。

(第1区) 奥州岩城磐前郡川中子村 愛宕山大権現
(第2区) 願以此功徳 普及於一切 我等與衆生
      皆共成仏道
(第3区) 当村願主猪狩甚休、同太左衛門。念仏衆中之野
      伝三郎、鈴木三次郎、猪狩甚衛、同甚右衛門、
      芝野定右衛門、猪狩太兵衛
(第4区) 成福院住元栄、延享四丁
      卯天五月二十四日、
      鋳工椎名久兵衛国光、同長次郎

 梵鐘は延享4年(1747)平梅香町の鋳物師、椎名久兵衛国光・長次郎の作である。
 椎名氏は慶長5年(1600)、岩城貞隆の御抱え鋳物師となり、のちに鳥居氏・内藤氏・安藤氏に仕えた。
 本鐘の池の間各区に施された天狗・愛宕山風景の浮彫りにはみるべきものがあり、全体として作行も良く、戦時中の金属回収令からも除かれた作者・年代の明らかな作品である。
 愛宕社は、かつて飯野八幡宮の供僧寺の一つである成福院が別当であった。
指定区分
県指定
種別
重要文化財(工芸品)
住所
いわき市好間町川中子愛宕東
施設名
川中子区
指定年月日
昭和60年3月29日

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