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どうせいわにぐち

銅製鰐口

シンプルな形の鰐口です。普通のと比べて何がないのでしょうか?

 小型の銅製鰐口です。鰐口とは仏堂の軒先につり下げられた仏具の一種で、下の部分が鰐の口のように横長に切れている音を鳴らす道具です。同様につり下げられた綱を鰐口の撞座(つきざ)という部分に当てて音を出します。しかしながらこの鰐口には撞座はなく、非常にシンプルな形をしています。
 クルッと画像を回していくと鰐口のきれいな切れ目を見ることができます。表だけでなく裏側にも3重の線がきれいに刻まれており、どことなくきゅっとしまったすっきりした雰囲気をかもし出しています。
 多くの参拝者がこの鰐口を鳴らしてきたおもかげが残されていて、しみじみとこの鰐口の良さがにじみ出ているようです。

解説

 銅製小型の鰐口で、撞座のない簡素なものである。重圈を3条巡らす外周に、次の刻銘がある。

 □ ( 奉掛熊) □□野御宝前奥州菊田庄□□ (野)郷
 □ ( 康暦) □元年己未十二月日大 歳小次郎

 銘文に読みにくい文字があるのは、故意に磨り消そうとした形跡があるためである。
 鉄製の鈎鐶が付いている。一部に横割れがみられるほかは、保存状態は良好である。小型ながら引き締まった感じのする好ましい鰐口である。
 この鰐口は菊田庄の総鎮守と称された御宝殿熊野神社(錦町)へ、康暦元年(1379)12月に小次郎が奉納したものであったが、諏訪神社に移った事情は不明である。
 中世の金工品で作行きが良く、刻銘があり重要である。
指定区分
市指定
種別
有形文化財(工芸品)
住所
いわき市平豊間字下ノ内
施設名
諏訪神社
指定年月日
昭和51年11月3日

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