てつせいかけぼとけ
鉄製懸仏
表面を囲むようにどんな技巧が施されているでしょうか?
見ていると、心がホッとするような優しい雰囲気をたたえた懸仏です。中央に聖観音自在菩薩が彫られ、現在は全体的に茶色くなっていますが、それも味わいといえます。
ぐるっと横向きにしてみてください。蓮華座といわれる台座に座る菩薩の様子が、あまりに立体的で、飛び出してきそうなほど。また横から見ると、表面の縁を囲むように三角にした三角縁が確認できます。
サイズは大きくありませんが、人々に寄り添う優しいお顔の懸仏です。
ぐるっと横向きにしてみてください。蓮華座といわれる台座に座る菩薩の様子が、あまりに立体的で、飛び出してきそうなほど。また横から見ると、表面の縁を囲むように三角にした三角縁が確認できます。
サイズは大きくありませんが、人々に寄り添う優しいお顔の懸仏です。
解説
懸仏は御正体とも称し、平安時代に鏡の表面に仏像を線彫りしたものがあらわれ、時代がくだるとともに特別にしつらえられた鏡板に高肉彫りしたものがあらわれる。
この懸仏は鋳鉄製で、円形の鏡板上部左右に同鋳の鈎輪が2個付いており、鏡板のほぼ中央に、高さ14.5㎝の聖観音像がある。
正しくは聖観音自在菩薩というべきであるが、一般に聖観音と呼ばれている。観自在とは「一切衆生を観察して自在によくこれを救い、また、一切の諸方を観察することが自由自在」という意味である。
この懸仏の聖観音像は、同鋳高肉彫りで蓮華座に坐し、顔には童子のごとき微笑みをたたえて、古拙の中に深い味わいを持っている。右手は胸にあって念じ、左手には未敷蓮花を持っている。宝冠の一部に欠損がみられるほかは保存が良い。表面の周りに三角縁を巡らすのみで、鈎輪以外に装飾はなく、簡素な作風を示している。紀年・刻銘はないが、制作の手法・様式から見て鎌倉時代末期の作品であると考えられる。
なお、常盤神社の祭神は、白水阿弥陀堂を創建したといわれる徳尼であり、かつて神殿は阿弥陀堂境内の東側にあったが、明治16年に現在地に移った。
この懸仏は鋳鉄製で、円形の鏡板上部左右に同鋳の鈎輪が2個付いており、鏡板のほぼ中央に、高さ14.5㎝の聖観音像がある。
正しくは聖観音自在菩薩というべきであるが、一般に聖観音と呼ばれている。観自在とは「一切衆生を観察して自在によくこれを救い、また、一切の諸方を観察することが自由自在」という意味である。
この懸仏の聖観音像は、同鋳高肉彫りで蓮華座に坐し、顔には童子のごとき微笑みをたたえて、古拙の中に深い味わいを持っている。右手は胸にあって念じ、左手には未敷蓮花を持っている。宝冠の一部に欠損がみられるほかは保存が良い。表面の周りに三角縁を巡らすのみで、鈎輪以外に装飾はなく、簡素な作風を示している。紀年・刻銘はないが、制作の手法・様式から見て鎌倉時代末期の作品であると考えられる。
なお、常盤神社の祭神は、白水阿弥陀堂を創建したといわれる徳尼であり、かつて神殿は阿弥陀堂境内の東側にあったが、明治16年に現在地に移った。
- 指定区分
- 市指定
- 種別
- 有形文化財(工芸品)
- 住所
- いわき市内郷白水町広畑
- 施設名
- 常盤神社
- 指定年月日
- 昭和43年12月27日