facebook X instagram Line
ひさのはまはりこきがた

久之浜張子木型

平の城下町で多かった職人の家はなんでしょうか?

 木型ってこんなにかわいいの?と見ているだけでウキウキしてしまいます。木型は張子にとって何よりも肝心なパーツで、ここに紙を貼り付け、形を作り、型を取ったものに彩色していくのです。木型が命と言っていいかもしれません。となると、魅力的に作られているのも納得できます。
 『磐城枕友[宝暦11年(1761)]』によれば、平の城下町の中で張子人形師の家が非常に多かったと記録されており、庶民の暮らしに張子が欠かせなかったということを物語っています。

解説

 久之浜張子の伝統を伝えていたのは、草野源吉(昭和51年没)である。源吉の祖父源六は、平五町目で菅野屋の屋号で張子人形を作っていたが、父保太郎のとき久之浜に移ったという。
伝統の経過からみれば磐城張子、又は平張子と称するのが適切と思われる。なお、平張子の伝統を受け継ぐ高橋晃平は、達磨作りの他、張子人形の製作を行っていたが、本人死亡により現在は中止している。
 人形制作の源泉は木型である。藩政時代から引き継がれたものもあり、今日では貴重なものとなった。特に、大天狗の面の木型は古く、山の神信仰と海上安全信仰と深く結びつき、船乗り達には広く宣伝されていた。
 (1)天狗の面(高さ53.4㎝)、(2)天狗の面(高さ47㎝)、(3)天狗の面(高さ38.8㎝)、(4)虎(高さ22㎝)、(5)虎(高さ22㎝)、(6)馬(高さ19㎝)、(7)招き猫(高さ18㎝)、(8)象のり童子(高さ21㎝)、(9)熊のり金太郎(高さ18㎝)、(10)大黒天(高さ27㎝)、(11)恵比寿(高さ27㎝)、(12)天神(高さ42.5㎝)、(13)俵牛(高さ13.5㎝)、(14)おかめの面(高さ20㎝)、(15)鬼の面(高さ19㎝)の15組の木型は、規模も大形で古様を保ち、近世の民芸玩具と民俗を知る上で貴重なものである。
 宝暦11年(1761)にあらわされた『磐城枕友』によると、平の城下町には酒造一八、弓師一、鋳物師一、鍛冶数家、仕立師二、瓦師一、洗湯一、石工一、髪結床三、張子人形師六、町医八、仏師一などの存在を記している。その中でも張子人形師がほかの工家に比して多いのは、その需要が多かったことを物語っている。
指定区分
市指定
種別
有形民俗文化財
住所
いわき市鹿島町下矢田散野14-16
施設名
いわき市暮らしの伝承郷
指定年月日
昭和47年10月12日

その他の3D・ObjectVR

TOP