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こんどうせいけまん

金銅製華鬘

中央にもすごい細工がされています。どんな技法でしょうか?

 この金銅製華鬘だけだと大きさが分かりにくいかもしれませんが、縦34.8センチ、横37.6センチと画像で感じる以上に大きい荘厳具(しょうごんぐ)です。荘厳具とは、仏像やお堂を美しくに飾る仏具を言い、この金銅製華鬘は、お堂の欄間にかけるために制作されました。華鬘はもとは生花を輪にした荘厳具ですが、永く飾れるようにと他の材料を使うようになったのです。
 この金銅製華鬘は、清らかさを表すハスの花をさまざまにデザインし、その間を美しい唐草模様がつないでいます。
 華鬘の中央に刻まれた文字の部分には、魚子(ななこ)と呼ばれる小さな粒を一面に刻む技法が使われており、何という手の込みよう。ぜひとも画像を拡大して見てください。裏側から見ても美しい。
 仏様を美しく、そしておごそかに飾る道具は細部まで美しいことを実感させられることでしょう。

解説

 華鬘は仏殿の欄間に掛ける荘厳具である。インドでは華で鬘を作り、男女ともに身に着けて飾りとしており、大日経では「数多くの華を集めて鬘となし、もって仏に供養すべし」と説いている。生花に代わって永久的荘厳具となり、木製・金属製・皮製・布製の華鬘が制作された。教王護国寺(京都府京都市)の牛皮打ち抜き彩画の華鬘、中尊寺金色堂(岩手県西磐井郡平泉町)の金銅製のものなどが著名である。
 この華鬘は金銅製団扇形で、上部中央に釣環を付し、猪目半円の環座には唐草文をあらわし魚子地で埋めている。揚げ巻きは紐状の毛彫りがあり、鋲止めしている。この形は生花を結んだ名残である。揚げ巻きの上部には蓮華があって、下部両紐の間には「岩金山本願祐西」と双鈎体であらわし、短冊形に魚子を打ち出した銘がある。その両側には「天文五年 今月吉日」と蹴彫がしてある。揚げ巻きの右には開敷蓮華2つ、未敷蓮華2つ、蓮葉2つを散らし、その間を唐草文でつないでいる。左も同じ文様で左右同形をなしている。華鬘の下部には7個の小輪があるが、瓔珞は失われている。制作の技法は丁重である。
 天文5年(1536)祐西が奉納したもので、当代金工品の特色をよく示している。
 なお、この金銅製華鬘は、昭和30年(1955)ころ当堂に寄進されたものである。
指定区分
県指定
種別
重要文化財(工芸品)
住所
いわき市四倉町字西三丁目
施設名
妙見堂
指定年月日
昭和30年12月27日

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