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ことひらじんじゃのえま

金刀比羅神社の絵馬

禁断を誓ったとされる絵馬は、何を断ちたかったのでしょうか?

 50面も残された絵馬を眺めると、こんなにもいろんな絵馬があるのだなと驚くかもしれません。
 不良長寿を願い、老松の下で熊手を持った翁と箒を持った老女が共に立つ高砂図や、馬が描かれた一般的な絵馬はもちろん、天狗の面やそろばんがそのまま貼り付けられた立体的な絵馬、花札やサイコロにガッチリと鍵を掛け「禁断」を誓った絵馬などが残されています。
 どれも切実な願いを込めて奉納された絵馬は、当時の人々の心の有り様を教えてくれます。

解説

 「絵馬」は、かつてそこに住んでいた人たちが、どのような願いを抱えていたのか、どのような生活をしていたのかを知ることができる貴重な史料である。本絵馬で特筆すべきは、その数である。50面という保存数は、1社に奉納された絵馬としては、市内では他に例がない。保存状態も良好で、年代の確認できるものは、天保年間の絵馬が8面、嘉永年間の絵馬が2面、文久・弘化・安政年間の絵馬が各1面、明治年間の絵馬が5面、大正年間の絵馬が3面あり、その中で最も古いものは天保4年(1833)に、新しいものは大正7年(1918)に奉納されたことが確認できる。形の多くは、紐で吊って奉納する家のような形をした上辺が三角形の小型のものだが、なかには扁額のような大型のものもある。
 内容は、馬はもちろんのこと、技芸の上達を願ったもの、社寺へ参詣する様子や、『三国志』『古事記』などの名場面、神仏や武者などを描いたものなど、実に多彩であり、当時の人々の「祈り」の姿をありありと伝えてくれる。特に、50面中最大の大きさを誇る桐板を用いた扁額型の絵馬は、『三国志』を描いたもので、江戸の絵師の手によるものである。そしてその裏面には、江名の町の人々の名前が多数記されていた。豊漁と海の安全を祈る人々が、この金刀比羅神社に深い信仰を寄せていたことを物語る良好な資料といえる。
 また、不老長寿を願う高砂図をはじめ、大天狗や烏天狗など招福・災難消除を祈願したもの、なかには、花札やサイコロに鍵をかけて「禁断」を誓ったと考えられるものなどもあり、「絵解き」をする楽しさも味わえる。日々の生活において、悩みや苦しみ、不安を抱えるのは私たち現代人も変わらない。私たちは、金刀比羅神社の50面の絵馬を通して、先祖がどのようにその「心」に向きあったのかを知ることができる。
指定区分
市指定
種別
有形民俗文化財
住所
いわき市常磐関船町諏訪下
施設名
金刀比羅神社
指定年月日
平成15年4月25日

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