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おにとりきしのくびつなひきのずがく

鬼と力士の首綱引きの図額

この絵馬は憧れを表現しています。何に憧れているのでしょうか?

 なんてかっこいいんだ!思わずそんな言葉が出てしまう力強い絵馬です。それもそのはず、この絵馬は、力への憧れを意昧しています。
 元は、板面の下地に金箔(きんぱく)が押され、彩色された鬼と力士が首で綱を引き合っている場面が描かれていました。現在は、金箔も彩色もはがれてありませんが、素描の線だけなのがかえって力強さをあらわしています。負けまいと力を込める鬼の目はギョロリとして鬼気迫り、綱を持つ両腕には力がみなぎっています。対して力士もあごを上にあげて、綱を持って行かれないように必死の形相。2人の足を見てください。それぞれに踏ん張る足に、緊張感が見て取れます。

解説

 上部を唐破風の型にした板額で、板面の下地に金箔を押し、彩色をもって鬼と力士の首綱引きを描いたものである。現在は彩色・金箔ともに剥落し、素描の線を残すのみだが、これがかえって鬼と力士の力強さをあらわしている。絵師は不明であるが、狩野派の絵師によって描かれたものである。
 この絵馬の奉納者は、鍍金された縁金具に「下り藤」の紋所があるところから、磐城平藩主又はその一族の内藤氏であることがわかる。また、「御神前 武運長久所 寛永弐拾暦未癸九月 施主 敬白」の銘文から、飯野八幡宮の「引馬図」と同年の寛永20年(1643)に奉納されたものである。
 住吉神社本殿は、寛永18年(1641)に再建されており、この絵馬はその2年後に奉納されたもので、武神として名高い住吉・飯野八幡宮両社に奉納された意義は大きい。しかもこの絵馬は、力への憧れを意昧するもので、武運長久の祈願にふさわしいものである。
指定区分
市指定
種別
有形文化財(絵画)
住所
いわき市小名浜住吉住吉
施設名
住吉神社
指定年月日
昭和52年5月4日

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