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けんぽんちゃくしょくしんごんはっそぞう

絹本著色真言八祖像

空海の絵には他にないものが描かれています。何でしょうか?

 真言宗を伝えた8人の姿を描いた絵を真言八祖像と言います。真言宗の大寺院では儀式の時に八祖像がかけられることから、多くの模本(コピー)が作られました。これらの作品も室町時代の模本と考えられますが、8人の絵すべてがそろっていることは非常に貴重です。
 この八祖像ですが、それぞれを見比べると非常に面白い。容姿の細かな表現はもとより、足元にそろえられたくつやぞうり、下に置かれた水差し、着ている衣の色や模様などどれも見ていてあきません。中でも空海像の上部にある色紙形には蘭・松・牡丹が描かれています。他の人にはそのような絵は描かれていません。そうした違いや意味を考えながら、ゆっくりとながめたい絵画です。

解説

 真言八祖像とは、真言宗を伝えた竜猛菩薩・竜智三蔵・金剛智三蔵・不空三蔵・善無畏三蔵・一行阿闍梨・恵果阿闍梨・空海(弘法大師)の肖像画である。その祖本は空海が唐において恵果阿闍梨から真言宗を学び、帰朝する時に六幅が請来され、のち恵果と空海が加えられ八祖像となった。真言宗の大寺院において、儀式の時などに八祖像が掛けられ、宗祖を尊ぶ信仰上から多くの模本が作られた。
 薬王寺の真言八祖像は絹本著色の画像で、肥痩のない鉄線で描かれ、線にのびやかさがあり、彩色に豊かさを欠くが、各幅ともに宗祖の面貌を良く伝えている。上部には色紙形があって空海像の色紙形には蘭・松・牡丹が描かれているが、外の幅には何も描かれていない。
 表装には緞子 、中周りには菊花文の金欄を用い、軸は蓮華文魚子地の金具を付している。
 本図の伝来については定かではないが、各幅の巻留に「享和元年(1801)辛酉初秋七月修捕焉延寿山什物隆鑁」の修理墨書がある。
 作風からみて室町時代作の模本と思われ、いわき市内において当時の絵画は数も少なく、八幅完備していることは貴重である。
指定区分
市指定
種別
有形文化財(絵画)
住所
いわき市四倉町薬王寺塙
施設名
薬王寺
指定年月日
昭和51年5月27日

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