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もくぞうしょうかんのんぼさつりゅうぞう

木造聖観音菩薩立像

寺の繁栄を祈願するために何を行なったのでしょうか?

 玉眼(水晶で作った眼)が嵌められた涼やかな目元が魅力的な立像です。頭には非常に華やかな冠をつけ、中央部分は結い上げられた髪の毛が見えるよう細工が施されています。また衣や蓮華の蕾を持った指先の柔らかな表現など、細部へのこだわりに目を見張ります。
 この像は、寺の開祖が寺を建てる際、鬼門の方角に観世音菩薩を迎え入れ、寺の繁栄を祈ったことで造られました。
 皆の願いを背負い作られた本像は、室町時代初めに銘が記された像として貴重ものです。

解説

 専称寺書院に安置されている木造聖観音菩薩立像は、宝冠をいただき、天衣・条帛をかけ、裳をまとって立つ。左手は腹前に屈臂して未敷蓮華を持ち、右手は胸前にかまえ、掌を体側に向け、5指を伸ばす聖観音菩薩の通例の姿をみせている。
 頭部は髻頂より両耳前を通る線で前後二材を矧ぎ合わせ、体部も体側を通る線で前後二材に矧ぎ、両肩、肘、手首、足首をそれぞれ矧ぎ寄せる寄木造りの構造で、玉眼を嵌入し、肉身部に漆箔が施されている。台座軸棒には次のような墨書銘がある。
 夢相感得我開祖梅福山
 専稱寺開基最初祭鬼門
 勧請観世音菩薩丑寅間
 祈報恩院繁栄焉
  永享五癸丑年□理□(中)
             謹而書之
 この銘文によると、専称寺開祖良就上人が同寺を建立した時に、鬼門である丑寅の方角に観世音菩薩を勧請して、寺の繁栄を祈願したことを理中(三世良鑑上人)が夢相感得し、永享5年(1433)に本像を造立したことが知られる。
本像は全体に洗練された作風をみせ、中央の仏師の作と考えられ、室町時代初期の在銘像として貴重な作例のひとつに数えられる。
指定区分
市指定
種別
有形文化財(彫刻)
住所
いわき市平山崎梅福山
施設名
専称寺
指定年月日
平成元年12月4日

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