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えま わたなべのつなのず

絵馬 渡辺綱の図

武士が何に襲われているでしょうか?

 全面にびっしりと金箔がはられた大絵馬で、高さ148センチ、横幅224センチの大きさを誇ります。大人が寝転んでも横幅にならないという驚きの大きさで、そこにびっしりと金箔をはるという気合いの入れよう。
 平安時代の武将、渡辺綱が羅城門の鬼を退治するという伝説をもとに馬上の渡辺綱と襲いかかる鬼がリアルに描かれています。
 人馬の彩色ははがれているところが多いですが、それが逆に鬼の盛り上がった筋肉や、ひるまずに立ち向かう馬の顔を浮き上がらせ見応えがあります。また金箔とのコントラストも魅力があります。
 この大絵馬を奉納したのは磐城平藩主・内藤義概。財を惜しまずとびきりの大絵馬を寄進した義概の思いが伝わります。

解説

 この絵馬は、庶民が奉納する小絵馬とは異なり、武運長久を願って神社仏閣に奉献する大絵馬の典型的作品であり、いわきの絵馬の中で最大の大きさを誇る本格的な甲冑武者絵馬である。
 3枚矧ぎの欅板に金箔を施し、平安時代の武将渡辺綱が、羅城門の鬼を退治するという武勇譚に則り、馬上の渡辺綱に襲いかかる鬼の姿が描かれている。
 地の金色はよく残っているものの、人馬・鬼の彩色は剥落が激しく、わずかに武者の甲冑及び轡など、馬具の一部に彩色が残るだけだが、狩野派特有の図柄に基づく渡辺綱のダイナミックな画面構成は、剥落した画面を通して十分に伝わる。
 裏面には、剥落してほとんど色彩が失われているが、四隅を岩で囲まれた金地に、様式化された牡丹唐草文様が描かれている。
 また、絵馬の縁回りには、渡金された飾り金具が施され、内藤家の家紋である下がり藤が毛彫りされている。
 表面の墨書により、この絵馬は、正保4年(1647)9月、磐城平藩主・内藤忠興の子義概(風虎)の寄進によるものであり、作者は狩野信之(1619~91)であることがわかる。願主・筆者・奉納された年代が、明らかに読み取れるこの墨書の存在もまた貴重なものである。
指定区分
市指定
種別
有形文化財(絵画)
住所
いわき市平字八幡小路
施設名
飯野八幡宮
指定年月日
平成11年4月30日

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