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もくぞうじゅういちめんかんのんぼさつりゅうぞう

木造十一面観音菩薩立像

古い造られ方をした仏像です。どんな方法なのでしょうか?

 なんとも味わい深い十一面観音菩薩だこと、と見るものに思わせる姿をしています。この仏像は頭から足までのすべてを1本の木材から彫り出す一木造り(いちぼくづくり)という古い技法で造られていて、12世紀後半の作だと考えられています。
 十一面観音菩薩の頭上の顔を見てください。この部分は後に補われた箇所ですが、例えば瞋怒面(しんぬめん)という怒った顔も、少しずつ表情が違っていて見応えがあります。十一面あるどの顔も細かい部分まで神経が行き届いています。
 十一面観音菩薩は観音菩薩の変化したひとつの姿であり、すべての方向に心を配り、命あるものの苦難を救うとされるわけですが、一木造りという技法も相まって並々ならぬ強い思いが込められているように感じてしまいます。

解説

 本像は、頭体通して両足まで1材で彫出し、背面肩より裳裾まで通して内刳を施す一木造の技法は素朴であり古様である。体躯は細く、背面の内刳をふさぐ背板が失われているとはいえ体躯の奥行も薄い。わずかにみられる両肩より垂下する天衣や裳裾部の衣の襞の彫出は浅く穏やかなものとなっており、12世紀後半の造立と考えられる。
 なお、頭上面のすべて、鼻先、両腕の各肘より先、両足先などの後補部は、観音堂内の観世音菩薩再興の棟札により、享保14年(1729)に補われたものと考えられる。
 市内では出蔵寺明王形立像(県指定)や白水阿弥陀堂諸像(国指定)など、平安時代の前期から後期にかけての遺例が伝えられているが、全体からみればこの時代の仏像は少ない。
 そのような中で、この時代の仏像のすがたを保持している本像は見逃すことができない。素朴な技法や造形から当地方での造立とみなされ、平安時代後期の在地の造像活動を伝える数少ない遺品である。
指定区分
市指定
種別
有形文化財(彫刻)
住所
いわき市小名浜野田峰岸
施設名
禅福寺
指定年月日
平成17年4月27日

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