facebook twitter instagram Line
もくぞうふどうみょうおうりゅうぞう

木造不動明王立像

美しい衣の模様は何色で描かれているでしょうか?

 不動明王とは密教で生み出された大日如来(だいにちにょらい)の化身であり、大日如来は密教において最高位の如来と考えられています。
 通常、不動明王は怒った顔で表現されますが、この立像は怒りの中にも親しみを感じられる表情をしています。背中には煩悩(ぼんのう)を焼き尽くす炎を背負い、荒々しい雰囲気がただよいます。右手には煩悩を断ち切る剣を、左手には煩悩をしばり上げたり人々を助ける羂索(けんさく)という縄を持っています。
 寄木造りで衣の彩色もよく残っていて美しい。衣には膠(にかわ)に金を混ぜた金泥(きんでい)で細やかな模様をえがき、クルッとカールしている髪の毛にも金色が残されていることから、造られた当時はさぞやキラキラしていたことでしょう。

解説

 右耳のあたりに群青彩が残る。肉身部はもともと群青彩が施されていたものと考えられる。
 錆漆地彩色がよく残り、詳しい構造は不明ながら正統的な寄木造の技法でつくられている。また、彩色は華麗で金泥を多用し、種々の文様が精緻に描かれている。腰以下がやや細く、それに反して頭部、上半身は奥行もあり量感豊かである。衣の襞の彫は細いが、裾の折り返し部は深く彫り出される。腰を右に捻った体の動きもおとなしい。頭部から上半身の量感や裾の折り返し部の彫出には南北朝時代の造形がみられるものの、衣の襞の彫出や体のおとなしい動きなどから室町時代に入る頃の造立と考えられる。
 大正14年(1925)5月書上の『寺有財産帳』(円通寺蔵)の大師堂本尊不動明王厨子入立像の条に「嘉吉二年 舘主 上遠野大炊助御本尊」とあることから、嘉吉2年(1442)頃の在地領主層の造立と思われる。この像の正統的な技法や造形は当地方の有力な領主層の造像にふさわしいもので、室町時代初期における在地の有力武士(国人領主)の遺品として、歴史的にも重要である。
指定区分
市指定
種別
有形文化財(彫刻)
住所
いわき市遠野町上遠野根小屋
施設名
円通寺
指定年月日
平成28年5月2日

その他の高精細コンテンツ

TOP