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もくぞうあみだにょらいりゅうぞう

木造阿弥陀如来立像

この目力はすごい。どうしてこんなにキラキラしているのでしょうか?

 すっとした立ち姿が美しい木造の阿弥陀如来立像です。
 像全体をあえて古めかしい雰囲気にしており、目の力強さが際立っています。目には水晶で造られた玉眼がはめられ、白目の部分がより輝くように造られています。あまりの目力に、もしかして目を見開いているのかと思ったのですが、画像を見るとそんなことはありません。見る人によって印象が変わるのはもちろんですが、それでもこの目で見つめられるとすべてを見透かされているような、それでいて、慈悲をかけてもらえるような不思議な気持ちになるのです。
 この阿弥陀如来立像のあごは小さく、ほおもシュッとしていて若々しい印象を与えます。全体的に躍動感もあって、見応えのある木造阿弥陀如来立像です。

解説

 来迎印を結ぶ阿弥陀如来立像で、両眼には玉眼を嵌入し、寄木造の技法でつくられている。根幹部の構造は頭体幹部を通して頭頂より両耳後、体側を通る線で前後に2材を矧ぎ、内刳し、三道下を通る線で頭部を割り矧ぐ。さらに頭頂より両頬を通る線で面部を割り矧ぎ、衲衣下縁を通る線で裳裾部も割り矧ぐ。
 像全体に古色が施され、表現には固さが残るものの、両頬の肉をそいだような顔貌には若々しい表情があふれる。衣の襞の彫出は自然な流れをつくり、背中には盛り上がるような肉付けがあり、顔貌表現とともに写実的な造形がうかがえる。頭頂の肉髻部が低く、髪際線が額中央で垂れ下がり緩く曲線を描いているところなどに、鎌倉時代後半に流行した中国の宋代美術の影響(宋風)がみとめられる。
 裳裾部を割り矧ぐことは像内に納入品を納めるために行われたといわれ、文永元年(1264)銘の恵日寺(四倉町玉山)の阿弥陀如来立像にもみられる。
 造形上も両像は共通するところがあり、恵日寺像と同時期か、やや遡る頃の造立と考えられる。鎌倉時代の正統を継いだ仏像として、造形的にも優れ、市内では類例が少なく貴重な遺品といえる。しかし、伝来についての詳細は不明である。
指定区分
市指定
種別
有形文化財(彫刻)
住所
いわき市常磐湯本町三函
施設名
惣善寺
指定年月日
平成20年3月28日

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