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しほんちゃくしょくいわきななはまほげいえまき

紙本著色磐城七浜捕鯨絵巻

捕鯨の舞台となっているのはどこでしょうか?

 こんなに面白い絵巻があるのかと、隅から隅まで見入ってしまう磐城七浜捕鯨絵巻です。ストーリー仕立てで、絵巻の舞台は領内海岸、久之浜から小名浜まで展開します。鯨を見つけた漁民は、捕鯨船団を組んでうれしそうに出港していきます。漁民は赤いふんどし姿で船を操り、船の先には今まさに鯨にもりを突き刺さんばかりの勢いで立つ男の姿も見られます。鯨にもりが刺さり、船団に取り囲まれながらそのまま浜の方へと誘導される場面へと続き、最後は浜から引き揚げられ、鯨は解体されるのです。男たちはまたとない獲物の獲得に高揚していたことでしょう。
 磐城の捕鯨の様子を知ることができる貴重な絵巻物です。

解説

 本絵巻は平成4年、旧磐城平藩主・内藤家の子孫である内藤政道氏より、いわき市に寄贈されたものである。
 内藤家は元和8年(1622)から延享4年(1747)に至る125年間、7万石の大名として6代にわたり磐城平城を中心に、現在のいわき市の大部分と双葉郡富岡・楢葉・広野・川内の町村を支配してきた。
 この絵巻は、領内海岸の捕鯨の様子を描いたもので、詞書はないが、一目でそのストーリーがよくわかる。久之浜沖で鯨を見つけ、それを追って出漁する漁民の情景、波立の薬師堂、江ノ網の洞門を通行する荷をつけた馬、四倉の沖合で向きをかえた鯨、浜に置かれた梶、群がる人々、塩づくりに精をだす人、遠くに見える銅山、細谷の御殿、海岸には松林がつづく。平城下の近くにある弥生山、山崎の専称寺、沼之内の弁天堂。沖合では鯨に乗る漁民、逃げる鯨、江名浜から出漁する船、やっと仕留めた鯨を中之作へ引き寄せる船、下神白の三崎の遠見番所、小名浜では鯨を切りとる人々や御殿、高札場、塩釜の風景など、まさに当時の浜の生活が生き生きと描かれている。
 磐城での捕鯨は、慶安4年(1651)に紀州人により伝えられ、元禄年間(1688~1704)まで大規模に行われていた記録があり、当時の捕鯨の状況を知らせる良質の資料である。
指定区分
県指定
種別
重要文化財(歴史資料)
住所
いわき市平堂根町4−4
施設名
いわき市立美術館
指定年月日
平成5年3月26日

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