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くろうるしぬりきんまきえあおいもんきちょう

黒漆塗金蒔絵葵紋几帳

ひとつの模様が54個も施されています。どんな模様でしょうか?

 これは凄いと思わず声が出てしまう重厚感のある几帳です。几帳とは室内の間仕切りや目隠しに使う調度品で、季節に合わせて布を掛けて使用します。
 これは5代目将軍綱吉の養女が江戸の祐天寺に寄進(寄付)した宝物のひとつとされ、徳川家の証である三葉葵の紋が全面に54個施されています。
 黒漆は今でも黒々と艶やかで、蒔絵(漆の上に描かれた絵)も美しいまま。幕府お抱えの職人の手によって作られた、見る人を唸らせる調度工芸品と言えるでしょう。

解説

 この几帳は、祐天上人(1637~1718)に厚く帰依した5代将軍綱吉の養女竹姫(?~1772)が、江戸・目黒の祐天寺に寄進した宝物の中の一つである。その後この几帳は、祐天寺住職を隠居した上仁井田村(四倉町上仁井田)出身の祐海上人(1681~1760)によって延享4年(1747)に、柱隠しと共に故郷の専称寺に奉納された。その時の寄進状には水引と記されているが、几帳とも呼ばれ室内の間仕切りなどに使われる。部屋を飾る調度品でもある衣桁と同じものである。
 この几帳は鳥居状の衣桁架形を呈し、材料には檜を用い、上段桟・中桟・下桟・立桟・足台の部材の組み合わせで、黒漆塗りの金蒔絵に三葉葵紋54個を散らしている。組み合わせ部分は銅板金具で巻き、金具は葵紋・唐草紋によって装飾され、地には魚子を打ち出している。現在でも漆塗や蒔絵は損傷もなく精巧さを保っており、いかにこの品が優れた技術で仕上げられているかを示すものである。
 竹姫は清閑寺大納言凞定の女で、綱吉の養女となり、将軍に愛されて育ったが、婚約者が亡くなるなど不幸が重なったため、祐天上人に帰依したという。
 この几帳は幕府御抱え職人による作品で、江戸時代の調度工芸の優品である。
指定区分
市指定
種別
有形文化財(工芸品)
住所
いわき市平山崎梅福山
施設名
専称寺
指定年月日
平成4年3月27日

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