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いたいしとうば

板石塔婆

石板の岩はどこでとられたものでしょうか?

 美しい緑色をした緑泥片岩と言われる石で作られた供養塔です。石は埼玉県秩父地方でのみとることができる珍しいもので、県内でも貴重な品とされます。
 ひとつは真ん中に一文字だけ金剛界大日如来を表す種子(梵字:サンスクリットの文字)が刻まれ、もうひとつには、阿弥陀如来、観音菩薩、勢至菩薩の3尊を表す種子が彫られています。
 秩父でしか取れない石を使って供養をする、制作者(もしくは依頼者)の強い思いが込められている遺品と言えるでしょう。

解説

 板石塔婆は、板碑ともいわれる中世の供養塔である。市内では、玉造川流域の薬王寺付近を中心に集中して分布する。自然石の上部に2条線を刻み、種子と銘文を刻む独特な型式である。また、この大小2基の板碑は、埼玉県秩父地方からのみ産出される緑泥片岩で制作されており、県内でも類例が少なく貴重である。
 阿弥陀三尊を種子で表現したこの板碑は、死者の臨終に際して阿弥陀如来が、観音・勢至の2菩薩を従えて10万億土の西方浄上から雲に乗って来迎し、往生者を迎摂する情景を梵字で象徴的に表現したものである。
 大きい方は、高さ75㎝、幅32㎝、厚さ2.5㎝、頭部を三角に造り、2条線と額縁を刻み、蓮華坐のつく円相内に阿弥陀如来、観音菩薩、勢至菩薩の種子(梵字)を刻み、延文6年辛丑年(1361)2月10日の銘文がある。
 一方、小さい方は高さ52㎝と小さく、金剛界大日如来をあらわす種子を刻む。金剛界大日如来は仏教思想の中心で、あらゆる仏の中心であり、宇宙の存在を表わす。中世仏教文化の思想的背景を種子で表現しようとしている遺品である。
指定区分
市指定
種別
有形文化財(考古資料)
住所
いわき市平下平窪字諸荷
施設名
諸荷区
指定年月日
昭和43年12月27日

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